モノづくり・ひとづくり・街づくり

市民・自治体・技術者のコラボレーション

開催報告

◇ 日  時:平成18年11月17日(金)13:00〜18日(土)15:00

近畿支部主催による「市民のための科学技術・白浜カンファレンス2006」を、和歌山県白浜町のホテルシーモアで開催した。本年度からスタートした国の「第3期科学技術基本計画」を、モノづくり、ひとづくり、街づくり」と捉え、市民・技術者・自治体が一体となって推進していくことを、地方から発信することが目的である。技術者は「科学技術コミュニケーター」としてのあり方を探り、市民は、生活のための科学技術の正しい理解と活用を考え、自治体は、産業振興と市民生活とのバランスよい地域発展を考える。そしてこの計画を国の施策から、生活者中心の科学技術のあり方、として考えようと言うものである。カンファレンスでは、児童の科学技術教育、生活環境改善、安全・安心を確保できる防災、などについて活発な討議が繰り広げられた。この2日間のカンファレンスには、市民、企業内技術者、自治体、技術士など、61名の参加があった。

1. 入選論文の発表〔10編〕と表彰および特別講演〔2題〕

 このカンファレンスの応募論文は21篇で、厳正な審査の結果、入選された論文9篇と優秀論文1篇の発表と表彰状の授与、および特別発表3題があった。
 【入選論文】
  @「望ましい情報化社会の確立のために 昔の水路整備の知恵を活かそう」森末清成氏(技術士・情)
  A「モノづくり・人づくり・街づくりを支える技術魂−傍楽(はたらく)エン(縁)ジニア−」田中勇次氏(技術士・建設・機械・綜合)
  B「システム分析初心者のための図解技法について」北角達男氏(近畿大学経営学部・教授)
  C「無線によるデジタル・ディバイド対策(導入推進に向けた提案)」小林満男氏(技術士・電気電子)
  D「情報システム調達のライフサイクルについて〜大阪府電子調達システムの開発を例として〜」吉田博一氏(大阪府契約局)
  E「GPS携帯電話による安全安心ネットワークの構築」臼井義美氏(技術士・情報)
  F「ファイル伝送に於ける暗号化と暗号鍵の考察」小坂暢幸氏(技術士・情報・綜合)
  G「中小企業製造業における技術力強化マネジメントシステムの運用と有効性評価−計画プロセスを中心として−」豊島正利氏(技術士・経営)
  H「昨今の情報処理事業における課題への処方箋」野田昭司氏(技術士・情報)
 【優秀論文】
  I「日本的モノ作りの仕組みに学ぶITプロジェクトマネジメント」木本喜朗氏(技術士・情報)

2. 基調講演『科学技術コミュニケーターとしての技術者の役割』

(社)日本技術士会会長 都丸徳治 氏

【要旨】本年度は第3期科学技術基本計画のスタートであり、来年度は技術士法制定55 周年にあたる。日本技術士会では、第3期科学技術基本計画の推進を支援するとともに、技術士のあり方について振り返って考えてみることをお願いしている。 第3期科学技術基本計画の特徴は「モノからひとへ」であり、その代表が「科学技術コミュニケーター」で、これには技術士が最適である。 例えば、博物館のボランティアとして科学技術をわかりやすく説明する、学校に協力して児童の理科離れ防止を支援する、技術者倫理の形成を先導する、 大学の講師として積極的に技術を紹介するなどで、弁理士との知的財産に関する連携も考えたい。一方、技術に起因する不祥事を防ぐためにも、 技術士はプロフェッションを目指すべきである。アメリカの州法では、技術の専門家プロのエンジニアを定めており、その責任は非常に重い。 技術者は、優れた業績を上げても会社の製品を通じてしか一般の眼に届かず、そのため市民から見え難くなっている。『技術士よ、外に出でよ』といっているが、 技術者はもっときちんと発言し、社会での実践活動が重要である。技術士はもっと社会に出て、その存在を世の中に知らしめるよう努力して欲しい。

3. パネルディスカッション『生活者のための科学技術活用のあり方』

パネリストには、森元恒雄氏(参議院議員),鈴木裕道氏(文部科学省・企画官),立谷誠一氏(白浜町長),御前明良氏(紀州有田商工会議所・専務),都丸徳治氏(日本技術士会会長)が出席、コーディネータは浅井達雄氏(長岡技術科学大学・教授)という錚々たる陣容で、第3期科学技術基本計画の実践に向けた振興策について活発な討議が繰り広げられた。

4. 技術士から子どもたちに贈る短文集の発表と優秀作品表彰

 事前に募集した短文の中から21篇を選定、A5版の小冊子として仮製本し出席者全員に配布した。後日、正式製本して小学校の生徒たちに配布する予定である。優秀作には、小谷能啓氏(技術士・電気電子)の「君もラジオをつくってみないか」が選ばれ、表彰状が授与された。

5. 全体討議による白浜宣言採択 (ファシリテータ)北村友博氏(日本技術士会・副会長)

 三分科会に分かれた討議の結果、以下の白浜宣言が採択された。

我々、白浜カンファレンス2006に参加した、市民・技術者・行政関係者は、我が国が21世紀においても世界のリーダー国であり続けるため、「国家政策の第3期科学技術基本計画」の達成を目指して以下の通り宣言する。
@ 我々は、知識と感性を総動員して、しんどくても面白い、科学技術者を目指す子供たちの夢を  受け止め、その実現に共に努力する。


A 我々は、社会に潜む危険を発見し、心の通った的確な技術で、安全・安心な仕組みを提供し、  より活力ある社会の創造に努力する。

B 我々は、日本の将来を左右する技術上の諸問題に対して、技術者として関与する責任と権限
  を有している。そのため、高い技術倫理とあらゆる手段で技術問題を評価し、課せられた説明  責任を果たすための情報発信を行う。

開催に際して、多くの諸団体からご後援を頂きました。ご紹介するとともに、末筆ながら厚く御礼申し上げる次第です。ご後援:文部科学省,自治体(高石市・泉南市・有田市・白浜町),白浜町観光協会,日刊工業新聞社,紀伊民報,和歌山県技術士懇話会,共催:関西情報技術士会,(株)竹野内情報工学研究所,ピークコンサルティンググループ(株)

                                            (文責:北村友博)